【画像倉庫】「くすぐったい」感覚からの出発?
田中ユタカ「愛人[AI-REN](1999年〜2002年)」より。
くすぐり(擽り)とは、人の皮膚表面を刺激して「くすぐったい」感覚を与え「笑わせる」ことをいう。くすぐられた時の反応は人間に限らず他の動物にも見られ、その反応は反射に近い。精神分析学者アダム・フィリップス(Adam Phillips, 1954年~)が「くすぐりにはどうしても他者の存在が必要である」と語ったように、自分で自身をくすぐっても、くすぐりの感覚は得られない。
トム・スタッフォード&マット・ウェッブ 「MIND HACKS:実験で知る脳と心のシステム(Mind Hacks: Tips & Tricks for Using Your Brain, 初版2004年)」で紹介されたメカニズム
くすぐったいと感じる場所は、一般に耳の周辺、首筋、脇の下、手の甲、もものつけね、膝の裏、足の甲や裏など、動脈が皮膚に近いところを通っている部位である。こうした部分は万一怪我をすると多量の出血を伴いかねない「危険部位」で、そのため付近には自律神経も集まって、外部からの刺激に対しては特に敏感になっている。くすぐりによる刺激は、クモが体をはい上がる・ハチが肩に止まるといった危険を含んだ刺激と判断され、注意が向けられる。
- この自律神経と密接な関係にある小脳では、こうした危険部位への刺激に対する予測と、それに対する感覚の制御を行っている。したがって自分でそうした部位をくすぐってみても、その刺激は小脳の予測どおりなので、小脳が感覚を制御するため違和感が生じない。ところが他人にくすぐられると小脳はこれを予測することができないので、感覚の制御は不能として脳は混乱状態に陥る。その不快な感覚が「くすぐったい」という感覚であり、そうした「生命にとっての危機かもしれない」と錯覚された状態から逃れようとする自律神経の過剰反応が「笑い」にあたる。
- くすぐられる人間の脳をスキャンした研究によれば、他人にくすぐられた場合には小脳とともに喜びに関係する前帯状領域の活動が活発になるという。
このように「危険部位」を他人に触れさないようにするのは人の本能に拠るものだが、逆にそれをあえて許すことは厚い信頼や愛情の証となる。したがって許諾の上でのくすぐりは、時に性的快楽になる場合がある。
アニメ漫画分野は和製コンテンツの独占状態とも見て取れます。
相手がイケメン吸血鬼だったりすると、途端に…
そしてTumbr全盛期に当たる2010年代前半にはナルト世代やアバター世代を自称したニンフェット(Nymphet。ウラジーミル・ナボコフ著の小説ロリータ(1955)に由来。概ね10歳~14歳、すなわち女子が成長速度で男子を追い抜く小学校高学年から再び抜き返される中学生頃に該当)集団。彼女達が連日の様に大量に回覧していた画像の一部が以下となります。
そう、どうやら彼女達はFacebook上の表アカウントで「良い子」を演じつつ「裏アカウントでやり放題」状態を謳歌していたと思われるのです。
ところで、どうしてこんなにモノクロ変換された画像が多いのでしょう。その方がエロ画像から生々しさが消え、さらに過激な領域に踏み込むのも容易になるから。
当然「レベル」が上がれば上がるほど回覧者数は急激に激減。「面構えの違ういつもの筋金入り(漠大な量の男子向けエロ画像の山からこれらを抽出する過程で最も役に立ったのは、気に入らないが像はどんどん視界から抹消していくスルー力だったという)」」ばかりが残る展開を迎える訳ですが(特に男性器露出がリブログ数を急減させるので「下毛まで自粛」が広まる)、それでも母数が10万人単位だったので、それなりの足跡は残したという次第。
- ちなみに彼女達の多くは腐女子でもあって、そのタイムライン面積の半分が常に「熊さん系ガチムチGayコミュニティ」が供給する肌色面積の多い(ただしその多くがモノクロに落された)「ニューヨーク名物」ロバート・メイプルソープ風エロ画像で占められている猛者まで実在している。
- また当時は(日本文化が苦手とするラテン文化圏の着エロ文化を制した)ヒュンナ(Hyuna)、彼女とアイドルユニットBeastが組んだ18禁バンドTrouble Maker、CLが書き殴る独特のメモを韓国系米国人プロデューサーが気に入って歌詞に採用した2ne1「NORZA」、ライブなどでの脱ぎっぷりで熱狂的ファンを獲得した2PMといった「大人達が眉をひそめればひそめる程若者達が入れ込む」いかがわしいKPOPの全盛期でもあった。従ってそのファンのタイムラインはそっち系の肌色で締められる展開を迎えたのである。実は当時日本でも有名になった「大人も楽しめる」Psy「江南スタイル」やPsy&ヒュンナ「Ice Cream」の登場はこうした時代の「終わりの始まり」となり、以降は弾圧の時代へと突入していく。
- そう、規模が規模だけに彼女達は漫画アニメGameファン層に加え、当時最高峰を誇ったコンテンツ群SuperWhoRock、すなわち「Super Natural(2005年~2012年)」「Dr. Who(新シリーズ2005年~) 」「SHERLOCK(2010年~)」のファン層という顔も備えていた。少なくとも彼女達の一部はSHARLOCKのベネディクト・カンバーバッチ(攻)とマーティン・フリーマン(受)の生モノ系Gay二次創作のネット頒布に関与したと考えられている。TVでマーティン・フリーマンが「やめてください」と懇願すると「かえって苛虐心をそそられた」なる宣言があり指輪物語のフロド(演:マーティン・フリーマン)が宿敵ゴラムに鶏姦される画像が追加で頒布された。噂ではさらに悪竜スマウグ(演:ベネディクト・カンバーバッチ)に鶏姦させる追加案もあったが、時系列とサイズの違いから泣く泣く諦めたという。
ところで相変わらず国際SNS上の関心空間では中国の坛九(Tan-Jiu)作「她们的故事(Tamen Di Gushi/Their Story)」が群像型学園ラブコメTOPの座を守り続けている様ですが、ファンが主人公格の百合カップルの関係が中々進まない事に剛を煮やしています。
ファンサービスで「学校卒業後、大人の関係になったアダルトな2人のイラスト」を発表すると、かえって逆鱗に触れてしまいました。ファン達が求めているのは、あくまで高嶋ひろみ「加瀬さんシリーズ(2010年~)」の百合カップルみたいに「肉体関係があってもそれまで通りピュアな関係の2人」という話。思わぬ所で一矢報いる形に。
上掲のニンフェット軍団も、ラナ・デル・レイ(Lana Del Rey)のインディーズ時代の名曲「Queen of the Gas Station」「Lollita」に心酔しながら「Video Games」が発表されると距離を置く様になりました。
これは自分よりヴィデオゲームに関心のある年上の男性を好きになった若い女性の歌です。彼女は必死になって彼と付き合おうとするだけでなく、自分にも「私はそれが楽しいの そうやってヴィデオゲームをするのがね」と言い聞かせます。
どうやら実際に彼女らが直面するのは真逆の景色、すなわち榎木ナリコ「センチメントの季節」4巻第5話「惜春」の様に「それまで一緒にアニメを見て漫画を読んでゲームを楽しんできたボーイフレンドが肉体関係を持った途端、SEXの話しかしなくなる」悲しみの方が多かった模様。そして…
「その花びらに口づけを(2006年)」
これらを統合して回覧される百合漫画はこんな雰囲気に。
日本文化には、こういう消化のされ方もあったという話…